看護師の専門卒・大卒は転職時にも差が出るのか

日本の看護師には大まかに大学卒の看護師と専門学校卒の看護師がいます。どちらを卒業しても看護師になれるのですが(もちろん国家試験に合格しないとなれませんよ)、いったい何が違うのでしょうか。

まず、専門学校というのは特定の職業に必要な技術と知識を習得する場と定義されており、そのため実習を多く取り入れた授業を展開します。これに対し、大学は学術的かつ論理的な学問を学び、幅広い教養を身に着けることを目的としています。細かいところでは時間制と単位制などの違いもありますが、大まかな違いとしてはこの点を理解しておくといいでしょう。すなわち、大きな違いはカリキュラムにあるのです。実技重視の専門学校、理論重視の大学といったところでしょうか。

専門学校では高度化かつ多様化の進む医療に対応できる力を育成するカリキュラムになりますが、大学では幅広い分野を学びながらのカリキュラムになります。これだけ聞いても現場即戦力級の実力は専門学校の方が養えると思うでしょうが、現場での評価も実際そうらしいです。「大卒よりも、専門卒の方が使える」というのは看護師の中では定説として存在します。

しかし、実際の初任給は大卒の方が7千円ほど上になります。日本特有の大卒の優遇です。大卒だからといって現場でいじめられることはありませんが、まあ舐めてかかられるのも嫌ですよね。大卒だって優秀な看護師はたくさんいます。最近では、医療センターと連携して人材を育てる大学も増えてきているようなので、将来的にはこの定説もなくなるかもしれませんね。大学の有利な点は、保健師や助産師の受験資格が卒業時に得られるということでしょうか。専門学校卒だと必要資格に一年足りないため、専門学校の特化で1年学ぶ必要があります(専門学校によっては、最初から4年制にしている所もあります)。

こういった専門学校と大学の違いというのは新卒の就職時には関係があるものの、転職の時にはどこを卒業したのかは関係ありません。むしろ、どういったところで何をしてきたかの方が重要なのです。日本人は卒業をゴールと考えがちですが、卒業はスタートでしかありません。社会で伸びる人は自然とこの考え方ができている人です。そこを履き違えないようにしましょう。